toggle
2019-12-16

約束のクリスマス

雪がチラつく夜。

街はイルミネーションで明るく照らされる。

道行く人は幸せそうにクリスマスを過ごす。

白い息をくゆらせながらあの人を待つ。二年前に海外に行ったあの人を。

 

インテリア業界で働いている彼との出会いは、仕事でのプレゼンの時だった。彼の企画したインテリアに私は目を奪われた。洗練されたデザインの中に温もりを感じさせる色合い。それは人の心を包み込むようなデザインで、彼の心が伝わってくるようなデザインだった。

そのデザインを見た時、私の心も彼に魅せられていた。その後、彼と色々と話すようになり、ますます彼に惹かれた私は勇気を持って彼に告白した。

彼の答えは、「気持ちはうれしいけど、僕はこれから海外に行かなければいけないんだ…。君に何もあげられない。会うこともできない。いつ帰国できるかもわからない。それは君を悲しませるだけだと思う」というものだった。

私はそれでもいいと言いかけたが、慣れない海外での仕事に就く彼の負担になりたくなかった。彼はこれからどんどんその才能を発揮する時。その中で私が重荷になるのが嫌だった。

そうして沈黙した私に彼は続けた。

「僕は二年後に帰国する。その時に、僕は君に会いに行く。約束だ」

クリスマスが近い夜、私の告白は受け入れられるわけでもなく、想いを持ったまま引き離される形へとなってしまった。

そうして彼は行ってしまった。お互いの想いを曖昧にさせたまま。いや、優しい彼は私を傷付けまいと、きっとそれが精一杯の想いの伝え方だったのだろう。

 

それから彼は海外でその才能を発揮し始めた。雑誌やSNSで取り上げられることも多く、私は彼の活躍を喜びと共に、少しばかりの寂しさでいつも見守っていた。

彼の笑顔は輝いてた。きっともう約束は消えてしまっているだろう…。そう思って私は過ごす。そして約束の二年後のクリスマスがくる前日、私の電話が鳴った。

「久しぶりだね。約束の明日、あの場所で会おう。それとももうあの約束を覚えていないかな…?」

私はうれしさのあまり涙が止まらなかった。覚えててくれた。そして何より私を想っていてくれた。

「覚えているよ。ずっと、ずっと待っていたよ」

私は必死に彼への想いを言葉にした。

そうして次の日のクリスマス、私は約束の場所で彼を待つ。雪がチラつく中、彼の姿が見えた瞬間に私は思わず走って抱き着いた。温もりと懐かしさが私を包み込む。

「ずっと待たせてごめんね」と私を抱きしめてくれる彼。

想いをしまい込み、諦めかけていた約束は繋がった。

二年前のクリスマスは、時を経て人生で一番幸せなクリスマスに変わった。

 

 

関連記事