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2020-03-16

努力の白鳥

私には憧れの先輩がいる。

お子さんもいながら、バリバリのキャリアウーマンで、しかもいつも身だしなみがとても美しく、所作も、ファッションも、全てが雑誌から抜け出してきたような人だ。

 

私は自分に自信が持てず、社会人になり営業に配属されながらもなかなか成果を出せずにいた。営業部で常にトップクラスの成績を誇る先輩は、いつもキラキラしていて、私もあんな人になりたいと思いながらも、私なんかが目標にすることすらおこがましいと思っていた。

成績が伸びない私は、上司から叱責を受ける日々で、心身共に疲弊していた。

そんな私に声をかけてくれたのが先輩だった。

食事に連れ出してくれて、私の話を聞いてくれた。

そしてこの時、私は思わず「どうやったら先輩みたいな人になれるんですか」と聞いてしまった。

先輩は、子どもの頃の話をしてくれた。

子どもの頃、先輩も自分に自信が無かったというのだ。

 

中学生の頃、先輩は太っていて、ニキビが顔中に出ていたため、自分は不細工で誰からも好かれないと思っていたそうだ。クラスメイトの女の子たちがお洒落に精を出してキラキラ輝いているのを見て、仲間外れにされているようなみじめな気分になったという。

「まるで『みにくいアヒルの子』の主人公のような気持ちだった」と先輩は当時を振り返ってそう言った。

「でもね、みにくいアヒルの子って、大人になると白鳥になるんだよね。だから、私もいつか白鳥になりたい、美しく凛とした姿になって、大人になったアヒルたちを見返してやりたいって思うようになったの」

先輩はそう言った。

「で、ある時たまたま知ったんだけど、白鳥って、湖を泳いでいる姿がとても美しくて、まるで滑るように泳いでいるけど、水の中ではものすごく一生懸命足で水をかいてるんだよね。当たり前っちゃ当たり前だけど、私はその話を聞いて、白鳥も努力してるんだよなって思ったの。それで、白鳥を見習って私も努力しようって発奮したんだよね。太っているのはダイエットすれば痩せられるし、ニキビもスキンケアを頑張った。そうこうしているうちに、私は痩せて、肌も綺麗になった」

そう語る先輩の姿は確かに凛としていて、見惚れるようだった。

「自分が変わったら、自然と自信がついた。自信がつくと表情も変わるし、姿勢も、話し方も変わるんだよね。それで、今の私ができあがったの。だから、若い頃は私も全然自信がなかったけど、今はこうしているよ」

 

そして、先輩は私の悩みを解決できるような具体的なアドバイスをくれた。

白鳥のように優美で美しく、皆が憧れるような先輩だけれど、その裏にはものすごい努力があったんだと知って、私は自分が恥ずかしくなった。

必死に水をかく努力あってこその白鳥なのだ。

私はもう「自分に自信がない」と言って甘えることをやめた。

先輩を目標にするなんて恐れ多いと思うのもやめた。

先輩にもらったアドバイスを胸に刻んで、白鳥になれるよう私は努力して自分を変えようと決意した。

 

 

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