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2019-10-15

夫婦の溝と絆

夫と喧嘩をしてしまった。

大した火種ではなかったのだが、私が疲れてイライラしていたところに、夫が帰ってきて、私がいつも楽しみに見ているテレビ番組から勝手にチャンネルを変えた為。

そして私は何の興味も持てないサッカーの試合を見始めてビールの缶を開けて戸棚からスナック菓子を取り出してむしゃむしゃ食べ始めた。

夫のために夕飯を作り冷蔵庫に入れておいたのに、そんなものには目もくれず、スナック菓子とビールをむさぼりながらサッカー観戦をする夫に、私は「冷蔵庫にご飯あるよ」と声をかけた。

しかし夫から返ってきた言葉は「今日はいいや」のひと言だけだった。

これで私は癇癪を起こし、夫に文句を言った。

私がどんな思いで夕飯を作ったのか、毎週楽しみに見ている番組を見ていたのになぜ断りひとつ入れずに勝手にチャンネルを変えたのか、少しぐらい娘の様子を機にかけるようなひと言は無いのか、など、機関銃のように文句を言い放った。

夫は「仕事してきて疲れているんだから、家ではゆっくり休ませてくれよ」とうんざりするような顔をしてそう言った。

もうこの人には何を言っても無駄だ、と私は心底あきれ果て、そして諦めた。

その日以降、私は夫に無愛想にふるまうようになった。

夫はなぜ私がこんなに不機嫌なのか分からないようだった。あの日の夜、夫の行動が私の逆鱗に触れたという自覚は無いようだった。

私は、よくない事と知りながらも、ついまだ幼稚園生の娘に夫の愚痴を漏らしてしまった。

「ママは疲れているのに、パパはいつも自分勝手で困るよね」そう言って、深く深く溜息をついた。

娘が「そっかぁ。パパは自分勝手なのかぁ」と言い出したので、ハッとして慌てて「パパはお仕事をとてもよく頑張ってくれていて、疲れて帰ってきているのは本当だよ。いつもは自分勝手じゃなくて家族の事を大切にしてくれているんだよ」とフォローした。

 

それから数日後、私は思いがけなく夫に声をかけられた。

「なぁ、この前さ、サッカー観た時あったじゃん?」

私はその時のことを思い出したくなくて不機嫌に「うん」とだけ答えた。

「あの時はごめん」

思いがけず夫の口から飛び出した謝罪の言葉に一瞬耳を疑った。

「え?」

聞き返すと、夫は気まずそうに語り出した。娘から「パパは身勝手だ」と言われてしまったこと。

「パパはお仕事がんばってるってママが言ってたけど、ママもおうちでお仕事がんばってるんだよ。パパのご飯を作るのはママのお仕事でしょう?せっかくママがお仕事したのにパパはそれを無視してポテトチップなんか食べて、しかもママが見たいテレビまでじゃましちゃったんでしょ?」と怒られたこと。

娘は私たち夫婦にもっと仲良くしてほしいと思っていること。

それを、泣きながら夫に伝えたということ。

「あの時は全然気付かなくて…ほんと、俺ってバカだよなぁ」

夫はそう言って、再び私に謝った。

 

私は夫の謝罪よりも、娘にこれだけ心配をかけてしまっていたんだという事にショックを受けて、大人のつまらないケンカに巻き込んでしまった事を猛省した。

それから私たち夫婦は仲直りして、再び笑顔で笑い合える日がやってきた。

小さな娘に気付かされた家族の在り方を、私はもう二度と忘れないだろう。

 

 

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