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2019-11-26

正反対の姉妹

私と妹は、対照的だ。

同じ両親から生まれたとは思えないくらい、容姿も性格も正反対で、私は地味で真面目、妹は派手で遊び好きだった。

私は生まれてこの方一度も髪を染めた事が無く、化粧も必要最低限で、お洒落にも興味がなく、服も自分で選びに出かけるという事は滅多に無かった。

対して、妹は高校生になった途端髪を染め、それ以来一年に何度も髪の色を変え、メイクも徐々に派手になっていき、いつも新しい服を買いに出かけていた。

両親はかなり真面目な性格だったので、両親にとって妹は厄介者のようだった。

母はいつも私に妹の愚痴をこぼしていたので、私も妹を良く思わなくなっていた。

妹も妹で、口うるさい両親とは仲が悪く、両親側についている私の事も嫌っているようだった。私が妹の事を「困った子」だと思っているというのを知っているようで、私や両親とは関わろうともせず、外でばかり遊んでいた。

そんな姉妹だったので、ほとんど口をきかず、一緒に出掛けたりするような事も一切無かったのだが、ある日、その関係を変える出来事が起きた。

 

私が大学を卒業して社会人になり、会社勤めが始まった頃だった。

ひたすら真面目に生きてきた私は、本当に自分の外見に頓着していなかった。しかし、そんな私でも自分がお洒落でない事、美しくない事、野暮ったくて地味だという事は自覚していた。大学でキラキラした女子大生たちが次々に彼氏を作っていく中で、私には当然浮いた話は無かった。

私は自分に自信が無かった。私のような地味な人間に恋をしたり、友人同士で楽しく遊んだりする資格など無いと思っていた。

大学では、特に誰と仲良くする必要は感じていなかったが、社会人になると人間関係が一気に面倒となり、私は会社へ行くのがストレスと感じるようになった。

同期と打ち解けられない、先輩や上司と良い関係が築けない、取引先のクライアントと上手く話せない、そういったストレスに押しつぶされそうになっていたのだ。

家でも元気が無くなった私を心配して、両親があれこれ尋ねてきたが、何を答えずにふさぎ込む私を、ある日突然妹が外に連れ出した。

ろくに話もしなかったのに、本当に突然「買い物付き合って」とぶっきらぼうに言って私を連れだしたのだ。

妹の買い物に付き合うとばかり思っていた私は、妹が私の服を見立てているのを見て驚いた。あっけに取られる私を尻目に、妹はどんどん服を買い、それから美容室へ連れて行きヘアカットのオーダーまで勝手にした。そして髪をセットされた私は帰宅後、妹に化粧をほどこされた。

妹が選んだ服を着て、鏡の前に立つと、そこには見違えるような姿になった私がいた。

妹は私に「明日、会社に行ったらコソコソしないで自分から同僚とかに『突然妹にこんな風にされちゃった』と言って」とぶっきらぼうに言い、さっさと部屋へ戻ってしまった。

翌日出社すると、会社の皆が私を見る目が明らかに変わり、私は戸惑った。

好奇の目にさらされているような気がして縮み上がったが、妹に言われた通り、妹にやられたと言うと、同僚たちは「絶対その方が良い!変わった!すっごく良い!」と言ってくれた。

それから私は同僚たちと急速に距離を縮める事ができた。

そして、妹にお礼を言った事、お礼に食事を奢らせてと言い二人で出かけた事をきっかけに、姉妹のわだかまりは解けた。

私は狭い世界と、姉という立場だけで妹は「困った子」と決めつけていただけ。自分の世界を閉ざして妹を見ていただけだった事に気付いた。

私の知らない世界で妹には妹の良いところがたくさんある。変わった見た目だけでなく、変われた心も妹が与えてくれた。

 

 

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