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2020-01-17

森の復讐

住処を奪われた動物たちは一体どこへ行けば良いのだろうか。

その昔、私たち人間は自然と共存し、生きとし生ける全てのものと支え合って生きてきた。

それが、いつの間にか人間たちは自然に対して驕り高ぶるようになり、自然を、そして人間以外の生物を軽視するようになった。

自分たちの都合で空気を汚し、水を汚し、森の木々を切り倒し、動物たちの居場所を奪っていった。

そして、天然資源を湯水のように使って電気に変えて、本来ならば眠りにつけば良いはずである夜闇の中でも活動するようになった。

 

その結果、今より数百年後に人間は動物たちから復讐を受けることになった。

住処を奪われた哀れな動物たちの中には無念の死を遂げて絶滅するものもあったが、人間たちに牙をむいて復讐心にかられるものもあった。否、彼らにそのような醜い意思があったとは思えない。彼らは、ただ必死に命を繋ぎ、子孫を残すために、我々人間に立ち向かうという選択をせざるを得なかったのかもしれない。

世界中の森が無くなり、森で暮らしていた動物たちが人間の暮らす街に出てくるようになった。

そして、人間の家に侵入し食料を漁ったり、時には人間を襲うということもあった。

そんな動物たちを駆除する人間もいたが、彼らが動物に銃口を向けると、動物たちは「これは全てお前たち人間がやったことだ」と言わんばかりの澄み切った瞳で彼らをまっすぐに見つめるのだった。

本来人間より優れた能力を持つ動物たち。人間の駆除は間に合わず、街はどんどん森を追われた動物たちに侵略されていった。

宇宙人の侵略を恐れて様々な対策を打ってきた人間たちは、宇宙人が地球を発見する前に、もともと地球で暮らしていたかつての仲間に侵略されることとなった。

反撃は動物たちに留まらなかった。

森の植物たちも人間に屈することなく、力強く育つという方法で人間に抗った。中には食人植物に進化を遂げるものもあり、街を侵食し、次々に人間の命を奪っていった。また、人間にしか効かない強力な毒をもつ進化を遂げた植物や虫も生まれ、人間たちは絶滅の窮地に追いやられた。

 

そうして人間の数が減ることで、地球は生命のバランスが取れるようになり、自然と異常事態が収束するよう向かっていった。他の生物に影響を与えないくらいに人間が減少するころには、地球はすっかり落ち着きを取り戻していた。

森には木々が生い茂り、海も川も湖も、大気も美しく澄み、これまで人間に虐げられてきた生物たちがのびのびと暮らす地球で、人間はその生命の営みのひとつとして、謙虚に、自然に溶け込み、暮らすことによって地球から排除されず生き延びることとなった。

この変革により地球に住む人間が失ったものは果てしない。

けれどもそれは人間が長い間繰り返してきたものが我が身に振り返ってきたに過ぎない。

生き残った僅かな人間は、今度こそ地球と共存する道を歩んでいた。

 

 

 

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