toggle
2020-06-19

オッドアイズ Final chapter

夜空に星が煌く。

そして地には夜空の星よりも煌く美しき瞳が動き出す。

ミアはロックが残した施設に向かい歩き始めていた。

その足取りは重く、悲しみに暮れる。それでも自らの命を懸けてまで守ってくれた、愛してくれたロックのためにも一歩ずつミアは進んでいた。

暗闇の道に一台の車の音とライトがミアを照らした。

そしてその車はミアの横に止まると、一人の綺麗な女性が降りてきた。

「あなたこんな夜中に一人でどうしたの?危ないから乗って」

女性はそう言うとミアを車に乗せ、ミアの持つメモの場所へと車を走らせた。

「親は?どうして一人で歩いていたの?」

女性はミアを安心させようと話しかけるが、ミアは悲しみのあまり黙って俯くだけだった。

「私はエリー。よろしくね」

そう話しながらミアの頭を撫でると、ミアのオッドアイの瞳から星屑のように涙が流れる。エリーの優しさに触れ、ミアはただただ泣きじゃくる。

 

施設に着き、エリーが「元気でね」とミアを抱きしめた時には夜が明けていた。

そして朝陽が眩しくミアを照らした時、エリーはミアの美しきオッドアイに気付く。

「あなたその目…。なんて美しい…」

そしてエリーはしゃがみ込むと、「私と一緒に来る?」と聞いてきた。

エリーはモデルとして活躍しており、自らも施設育ちだった。そんなエリーは、自分と似ている、いや、自分より境遇が哀しみに満ちたミアを放ってはおけなかったのだ。

けれどもミアは、またこの瞳ゆえに誰かに拾われ、誰かを失い流れていくのかと思い、首を横に振った。そしてそっと悲しみに満ちた小さな声でつぶやく。

「わたしは呪いの瞳。誰もがわたしのために不幸になっちゃう」

それを聞いたエリーは、自分のことを愛せるようミアを幸せにしてあげたいと思い、ミアの親になる決意をした。

「優しい子。大丈夫。あなたは神秘の瞳。私はあなたを必ず輝かせてあげる」

そう言いミアを抱きしめると、エリーは施設に許可を取り、ミアを引き取った。

それからエリーはミアを自分と同じモデルとして輝かそうと育てる。ミアが自らのオッドアイを愛せるように、エリーは愛情を注いでミアを育てた。ミアは自分の瞳に哀しみと憂いを感じながらも、その愛を噛み締める。

そしていつしかその瞳ゆえ受けた哀しみの運命を、愛に変えて与えていける強さが芽生えていた。

 

月日が経ち、ミアは美しいトップモデルへと成長した。

表彰台の上、ミアは目をつぶり心の中で唱える。

(私を産んで守ってくれたママ。愛を懸けてくれたロック。自分を導いてくれたエリー。本当にありがとう…愛してる)

そしてなによりも美しいオッドアイの瞳を開き、自分のように苦しみ、哀しみの路を歩む人達に向けゆっくりと語りかける。

「私はこの瞳ゆえ、生まれた時から哀苦の路を歩んできた。望みもしない瞳で生まれ、追われて愛する人を失い、絶望の路を。それでも私は愛を注がれ運命に導かれた。哀しみと苦しみに満ちても人は運命を歩む。そしてその運命を愛してくれる人はきっといる。自分を愛してくれる人は必ずいる。これから私はその愛を与えられる自分になり、多くの人に幸せを与えたい」

涙を流すオッドアイの瞳は、幼き頃の儚い輝きとは違い、力強い輝きを放っていた。

その瞳は心に光る宝石となり、すべての人を惹きつける。

ミアが自分自身でも愛することのできたオッドアイズは、まぎれもない神秘の瞳として輝き続ける。

 

 

関連記事